この度、医療法人八女発心会の理事長として就任いたしましたので、皆様にご挨拶申し上げます。
姫野病院の始まりと現在の想い
祖父の代から始まった姫野病院ですが、姫野病院を開業しようと思った当時、病院を作るお金も何もなかったそうです。
毎日毎日銀行に足を運んで、雨の日も雪の日も傘もささず頼み込んでやっと手に入った土地で病院を作ったのが当法人の始まりです。
私はそんな祖父が今でも見てくれている気がするので、この地に戻ってまいりました。
私が地域で何ができるか考えた時に、地域との信頼関係をたくさん作り、皆んなで生きていくことが大切だと思うきっかけがありました。
15年ほど前に病院が乗っ取られそうになったことです。理事長の座も追い詰められ、資金もショートし経営難に陥りました。
そのとき特別なことは何もしていないのに患者さまが増え始めたのです。地域の方は理解してくださっていました。
地域の足による応援があって再生ができたこのご恩を忘れまいとの想いで、現在は全館個室で個室料を頂かずにより良い医療の提供をしたいです。
お互いに助けたり助けられたりする関係を作っていくことの大切さを、当院の歴史から身に染みて感じております。
そしてこれからもっと地域の発展と活性化の為に力になって行こうという思いが一層強く心にあります。
『幸せづくり』の観点から雇用を考える
現在、日本で起きている問題は医療、介護の力だけでは解決できない問題が多々あります。
例えば高齢者の孤独、これはデイサービスに行けば解決することでもないのです。これには、社会的な事業を作り出す根本的な仕組みが必要だと考えています。
例えば姫野病院では障害者の方にもお仕事をしていただいています。内職のようなお仕事だけではなく、患者さんや職員と触れ合っていただきながら、シーツの交換や簡易的な清掃などを手伝っていただいています。
自分が役に立っている、やりがいがあると感じていただくことが、人の幸福度を高めます。病院側にも経済的なメリットがあり、その方達にも賃金とやりがいを提供することができる。地域に住む障害者や、ロスジェネレーション世代の中年男性、仕事がない高齢者など、就労や雇用が困難な方を、障害者雇用やシルバー人材雇用などとともに進めていくことでWinWinな関係を作り出そうとしています。
「幸福度」は一概に一つの指標で図れるものではありませんが、活躍の場が広がったり、自分の裁量で物事がどんどん決まったり、ただ言われたことをやるだけでなく、自分のできる範囲内で最大限に力を発揮してこの世界に貢献していくことは、人の生きる幸せに繋がると思うのです。そういうことが実現できる組織づくりを考えています。
地域の皆様へ
『医療、福祉はもちろん、その他でも駆け込んでください』
当院は地域の駆け込み寺でありたいですし、地域とひとつになってこれからも皆さんと一緒に地域の幸せを作っていきたいと思っています。どこも受け入れてもらえなかったような患者さまでも、受け入れを一切お断りしない方針で医療を行なっています。
これからも全力で当法人の役割やニーズを模索しつつ、使命を果たしてまいりたいと思いますので、皆さまの温かなご指導、ご佃撻を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。